2020年春、九州の片隅で #COVID19 #pandemic


0:違和感漂う春





2020年の春は、異常な春だった。
2019-20年の冬が気候変動のためか暖冬で、福岡市をはじめ、雪が積もらずに冬が終わりそのまま春が始まったことだけではなかった。
誰もが『なんかおかしい』と口に出さなくても思っていたような雰囲気だった。
そして、パンデミックへ。
ひとりの大した肩書もない独身中年男の書き連ねる文章に何か意味があるのか、多くの人目に触れる機会があるのかさえも分からないが、2020年の春に九州の片隅で筆者が見たもの、感じたものを書き残しておくことにする。

1:長崎、パンデミックの予兆



筆者が毎年春必ず行くことにしている長崎ランタンフェスティバル
インスタグラムの新機能を試すことや写真撮影の練習として絶好の機会であり、独り身の筆者にとっては丁度良い気分転換になる日帰り旅行として毎シーズン期待している行事である。
しかし、1月下旬〜2月上旬に開催された2020年春節の長崎ランタンフェスティバルは、今考えると異常だったと言わざるを得ない。

まず、体感的なものだが人出が例年より少なかった。
2020年1月下旬は、中国湖北省武漢(ウーハン)市周辺で新型コロナウイルス(以下、COVID19とする)のアウトブレイクが発生し、(初動の問題があったという話もあるが)武漢市・湖北省・北京政府がウイルス保持者をはじめとして春節シーズンの大規模な移動制限などで封じ込め・経過観察・各種ワクチンなどの臨床実験や臨時医療施設の突貫工事的設置などの対策をなりふり構わず取り始めた時期だった。
北京政府は国民に対し海外への団体旅行などの制限を始め、クルーズ船ツアーのキャンセルが続々と始まった。
その頃筆者は例年同様に長崎市内を見物し、インスタグラムのネタを集めた。
まぁ観光客の姿が少なくなったなぁ程度でしかみていなかった。

そして、もう一つの兆候は長崎孔子廟で感じたことである。
上記の北京政府の移動制限の命令の影響か、四川省をベースとする雑技団(中国式サーカス)の長崎訪問が次々と中止され、尽く人気コンテンツである『変面ショー』などに差し替えられていた。

その時は、『あぁ、中国は大変なことになってるなぁ、アウトブレイクが早く収まってくれればいいけどなぁ』くらいにしか見てなかったし、COVID19の『進化』の本当の恐ろしさを知らなかった。
せいぜいタチの悪いインフルエンザ程度でしか考えていなく、それが1ヶ月もしないうちに我々までもがパンデミックの『当事者』になるとは露程も思っていなかった。

2:人々が消えた街





2月14日。
例年であれば『バレンタインデー』と称する一大商業イベントが展開され、恋愛を巡る悲喜交々が繰り返され、街の空気は華やかで愛に溢れ、筆者のような『非モテ』にとって普段以上に居心地が悪く肩身が狭くなる時期だった。
が、その数日前に横浜港にてクルーズ船『ダイヤモンドプリンセス』でCOVID19のアウトブレイクが発生し、保健当局の杜撰な対応で事態が悪化しつつあるという話が漏れ伝わり、バレンタインデーには和歌山県内などでもCOVID19保持者が現れたと伝えられ、日本国内の空気が一変した。
言い方を変えると『非常時』というフェーズに切り替わった雰囲気がバレンタインデーのこの国を覆った。
前後して、九州の観光業のお得意様だった中国や韓国などからの訪日客が明らかに大幅に減少したのはこの頃であった。

2月下旬には、Perfumeの東京ドーム公演の直前での中止を始めとして、大規模イベントが次々と中止され、全国の学校は臨時休校になった。
福岡市でも複数人のCOVID19保持者が確認されたこともあり特定集団だけでなく市中での感染まで発生していたことが判明した
こうなると人々は『疑心暗鬼』『ロシアンルーレット』状態に陥り、外出を控えるようになり、経済活動も停滞することになる。

筆者はタクシーの仕事で夜の街を走るが、2019年の消費税率改定後から減り始めていた人出が、今回のパンデミックで大幅に減ったと感じた。
特に歓楽街として有名な中洲地区は大幅に人出が減ったことで相当なダメージを受けていた。
半減どころか3分の1もいないという日もあった。

人が動かなければ、鉄道もバスもタクシーも使わなくなる。
JRグループの利用者は2019年の春と比べて半減した。
西鉄グループなどの高速バスも同様の傾向だった。
タクシーも例外ではなかった。
そして、これらの業界で働く人々の給与は減少する。
筆者の2020年1〜2月の給与も前年比マイナス20%〜50%であった。

不況期には、レジャー産業や観光地来客は減少する傾向がある。
湯布院や別府や対馬の観光客が大幅減少というニュースを見ていたが、休日に太宰府や柳川を回ってみたところ、(時間帯の問題もあったにせよ)やはり観光客が大幅に減っていた。

柳川は毎年春に『さげもん巡り』という吊し雛を辻々の商店などで展示する雛祭りイベントが行われるが、『御花』近くのカフェでティラミスセットをいただいた際にオーナーに話を伺ったところ『壊滅的』状態だということだった。
夕方は完全に人出が途絶えた。
煎餅店の店主とも、人出の大幅減少の話をした。

また、太宰府天満宮界隈は定点観測的に、インスタグラム用の写真撮影の練習でよく行くが、やはり観光客の姿は近年と比べて大幅に減っていた。
特徴的デザインで観光客に人気があるスターバックスも、行列がなかった。
天満宮境内は、時間帯によっては楼門から本殿が見渡せる状態だった。

3:パンデミック


今回(2020年)パンデミックを引き起こしたCOVID19ウイルスは、中国湖北省付近でアウトブレイクした後、何度か『突然変異』や『枝分かれ』を起こし、尋常でない強さの感染力で倍々ゲームの如く(数学的には『指数関数的』ともいう)航空便や交通機関を介し、時には街中で偶然近くにいた人に感染し、ロシアンルーレット的に発病する傾向がある。(体力が落ちていると症状が悪化するようである)

いつどこで誰に感染するか分からない状態であり、人が移動するだけで感染するリスクがあり、しかもウイルスを持ってしまったことすら分からないまま動くとその人が『スーパースプレッダー』になってしまう。
その影響は、運輸・観光業界から影響が出始め、製造業を始めあらゆる産業に大きなダメージを与えている(2020年3月現在)。
今後どうなるか、いつ終わるか誰にも分からない状態で、正に世界恐慌を引き起こしている。

COVID19のパンデミック、それは地球上の全国家・全ての人々が取り組むという、おそらく現代史上未経験の局面を経験し、地球上の人間全てが『当事者』になってしまったということであろう。
筆者は、『当事者』として、インスタグラムやこのブログなどでこのパンデミックの記録をここに残すこととし、この件については一度筆を置く。

参考:2019年春の観光シーズンの記録

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