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【映画鑑賞記】命懸けの化かし合いの果てに:『工作 黒金星と呼ばれた男』

https://www.instagram.com/p/B2LmHGuAAKv/?igshid=rm5hkhtpcv81 0: 『スパイもの』の映画や小説、テレビ番組といえば、皆さまはどのような作品を思い浮かべるだろうか。 筆者の場合は、うろ覚えでしかないが、幼少期からよく題名を耳にしてきた『 007 シリーズ』がイメージとして出てくる。 近年であれば、例えば『ミッション・インポッシブルシリーズ』なども出てくるであろう。 これらの影響もあって、スパイ映画にアクションシーンがつきものだと思う方もいらっしゃるだろう。 だが、本作『工作 黒金星と呼ばれた男』は、アクションシーンは皆無である。 何よりも、大きなウエイトを占める『化かし合い』『心理戦』というものが本作の見所であろう。 1: 1990 年代の韓国の政権は、北韓(北朝鮮)の核開発についての情報を得るべくスパイ活動を行っていた。北韓も南(韓国)の体制に関する情報収集や撹乱を図るべく、韓国をはじめ世界各地にスパイを送り込んできた。 日本統治時代〜 6 ・ 25 (朝鮮戦争)を経て『分断国家』となり現在に至る韓半島(朝鮮半島)の環境下、スパイとして北韓や中国で活動してきた『黒金星』と北韓の外貨獲得政策を仕切る政権中枢に近い人物の対峙、そして国家という『重苦しい鎧』を剥ぎ取ったナマの人間としての関わり合いを描いたのが本作である。 『黒金星』パク・ソギョン(役:ファン・ジョンミン)は、元々軍人だったが、スパイ活動の為に事業家に偽装することになった。 日常の所作や言動まで徹底して事業家としての立ち居振る舞いを求められることとなり、北京などでは警察当局や北韓のスパイのマークを逃れようとした。 日常会話でさえ、電話回線やホテルなどでの盗聴に神経をすり減らす日々であった。 そして、『黒金星』は北京のレストラン『高麗館』で北韓の実務者である対外経済委員会所長のリ・ミョンウン(役:イ・ソンミン)と対峙し、北韓政権中枢への接近・核開発の実状を探るための工作活動を本格化させることとなった。 2: 『黒金星』は、温和・紳士的なイメージを持たせるも一筋縄ではいかないリ所長やその周囲の北韓の国家安全保衛部の課長である軍人肌のチョン・ムテク(役:チュ・ジフン)との、観る側がハラハラさせられ